地域ネットワーク医療部の概略
本邦は世界最長寿かつ少子化も同時進行し、現在、高齢化率25%を超える世界唯一の国である(2014年統計)。しかし2050年頃には、ヨーロッパ各国、中国、韓国、タイ、シンガポール、イラン、チリ、カナダなどが同様になるとWHOにより予想され、その頃日本は40.5%である(2011年高齢社会白書)。日本の高齢化を危惧し、本邦では2000年より介護保険制度が実施されている。
しかしながら、介護保険が導入されてからしばらくして、指摘されたことは、「医療」と「介護」だけでは、地域での高齢者の生活は支えきれないという実態であった(2003年厚労省高齢者介護研究会「2015年の高齢者介護」)。そこで、1980年代頃にはすでに提案されていた「地域包括ケアシステム」の具現化が急務となり、2014年「医療介護総合確保推進法」が施行された。現在も全国で、「地域包括ケアシステム」の重要性が増しつつある。
上記のような時代背景とともに、本部門も発展しつつある。2000年に京大病院内に地域ネットワーク医療部が設置された当初は、構成員4名の小さな部門であった。2004年に、地域医療連携室が発足し、地域ネットワーク医療部の一部門となり、人員の拡充とともに現在に至っている。2017年7月より、京大病院でも退院支援加算1が導入され、さらに4名のスタッフ増員とともに、病棟専属の人員配置がなされている。
上記のように、京大病院地域ネットワークは、前方支援(患者紹介予約など)を主に担当する地域医療連携室と、後方支援(退院支援)を担当する2部門が大きな柱となる。
高度先進医療を担いつつ、地域の基幹病院としての京大病院の役割を十分果たすためには、こどもから高齢者までの幅広い、前方・後方の両支援体制の充実が重要となりつつある。本部門はその業務を担当する。